9月12日木曜日、東京都新宿区において災害時施設運営管理者研修(Ⅰ種)を開催しました。
この日の受講者数はおよそ30名前後。受講者の半数が施設管理者、残り半分が防災や災害対応に関わっておられる方でした。
ちょうど千葉県で台風15号による大規模停電が発生していたからか、研修の場はいつも以上に緊張していました。
事実、台風15号の影響で、急遽この研修を欠席した方もいらっしゃいました。
受講者のみなさんは、午前中『災害に関する基礎知識』を学びました。
災害は近年ほんとに多発しているのか? 復興に携われる若者はなぜ少ないのか? 地域による防災・災害時対応はほんとに可能なのか?
今回の研修では災害関連死に関する講義をより深く行いました。
午後の研修では受講者自身が考えたり、受講者同士で話し合う時間を設定しています。
ディスカッション後の意見や質問をシェアする場では興味深い質問が出ました。
「避難所で(災害関連死)によって人が亡くなった場合ご遺体はどうすればいいのか?」
あまりにも突然で、しかし核心を突く質問に講師陣も驚きました。
講師陣からは、実は各自治体に災害時の遺体の取り扱いマニュアルがあることが説明されました。
マニュアルには遺体の受け入れを行っている協定先が書いてあります。
また医療関係者の受講者からは「”人が死んだ”を判断するのは医者であること。素人目から見ても明らかに亡くなっている場合でも、”死んだ”と判断せずまずは医療機関に連絡してほしい」という専門的なアドバイスが出されました。
別の受講者からは、「過去の避難所では停電時に熱中症をどのように対応してきたのか?」という質問が出ました。
これは、(研修開催時は)千葉県で大規模停電が発生していることから、そこでの災害関連死を危惧しての質問でした。
株式会社CoActの渡嘉敷さんからは、「ライフラインが復旧していない避難所で熱中症を防ぐのは確かに難しいです。過去には氷などで脇を冷やしたり、エアコンが使える車の中で過ごすことで熱中症対策をしてきた例もあります」という体験が語られました。
その説明を受けた受講者の一人から「観光バスを被災地に派遣して、エアコンを効かせたらどうか?」というアイディアが出ました。
これには会場が少し盛り上がりました。
質問が課題解決のアイディア出しに発展する流れは、この研修の面白いところです。
今回の研修では千葉県での大規模停電を想定した質問はもちろんですが、首都直下型地震を想定した質問や意見もたくさん出ました。
これは、東京ならではの緊張感です。
中には「オリンピック開催時に大規模地震が起きたらどうしよう…」という不安を漏らす方もいらっしゃいました。
このようにこの研修では、災害時対応の知識を得ていただいたり、自らが管理する施設を再確認していただきます。
それらの目的は、施設の利用者の安全を守ることや被災された方を守ることです。
同時に、同じ研修に参加した受講者同士が、緩やかなコミュニティを形成していくことで、互いに支え合える環境が創られるのだと私たちは考えています。