日本における災害時対応の主な課題

災害多発時代を迎えた日本

かつては「忘れた頃にやってくる」といわれた災害ですが、近年は災害からの復興がまだ半ばなのに、次の災害がやってくるように感じます。

津波の被害を受けた福島県

2019年3月現在、東日本大震災、熊本地震、九州北部地震、西日本豪雨水害、北海道胆振東部地震の5つの災害で被災した世帯が応急仮設住宅で暮らしながら、並行して生活再建に臨んでいます。
このような事態は、過去にはなかったことです。

同時多発的に災害が発生すると1つの被災地への支援に集中することができなくなり、人材や財源なども分散してしまいます。
災害の頻度が増すということは、救援活動に充分な人材を投入できないことや、避難生活が長期化すること、復興にも時間がかかるということを意味するのです。


災害対応力の縮減

これからの日本は急激な人口減少と少子高齢化の進展とともに災害多発時代に突入します。

災害時に支援が必要な人の数は増えるのに、支援にあたる人の数はどんどん減っていくのです
いままでの防災のあり方では、助かる命も助からなくなります。

地域で子どもが減少すると、学校の統廃合も加速します
この30年間で合計数は6,000校以上減っています。
日本では明治以降、学校を核とした地域づくりを推し進めてきたこともあり、指定避難所の多くは学校の体育館です。
学校の統廃合が進むと、地域で避難所の数が少なくなるのです。

一方で民間の事業者へ委託して運営する公の施設が増えました。
災害時に避難所となる公の施設も、行政の外郭団体や民間企業が管理・運営するようになりました。

高齢化の進展で地域での助け合いが年々脆弱になっていく中、災害時における公の施設に対する住民からの期待は高まっています。

避難所の入り口の様子

しかし指定管理施設での災害時対応についての取り組みはまだほとんどなされていないのが実情です。
災害時に避難者を受け入れる可能性がある施設を運営する立場にある人は、住民自身による「自助」、行政による「公助」の両方が縮減しているという現実を見据えたうえで、災害対応力を再構築していく必要があるのです。

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